レンズとボディと私。

野鳥撮影から、いつの間にかアウトドアに魅了されたのだ。

開放だと目立つ

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開放だと目立つのが軸上色収差。今回もVoigtländer(フォクトレンダー )のNOKTON(ノクトン) 25mm F0.95の話。褒めてばかりでは面白くないので、今日はちょっとした欠点について書く。

解像感の低下(ソフトな描写)はこの際「味わい」として高く評価できる。そもそもF0.95なんていうカミソリピントで解像感の両立など、このレンズを手に取る人は求めていないだろう。求めているのは味わいと溶けるようなボケだと思う。

さて、F値開放のF0.95で撮影していると目立つことがある。それは軸上色収差だ。色収差とはかなりザックリ言うと青や赤、緑といった可視光線を成すそれぞれの色の波長が異なるために起こる色のズレだ。この辺の光学知識は私は詳しくはないのでもっと詳しく知りたい方はググって欲しい。厳密に言うと違うが、パープルフリンジと呼ばれたりしている。

被写体の輪郭に沿って出る紫色がソレで、特に低輝度と高輝度な部分が隣り合った時に発生しやすい。赤色と青色が重なったような見え方で、ノクトン25mmの場合はF値開放で撮影した場合に顕著に出現する。普段は開放でも優秀なOLYMPUSのプレミアムやプロレンズを使っているので最近は目にしていなかったが、久しぶりにパープルフリンジを見るとやはり目立つ。

昔EOSマウントを使っていた時なんかはパープルフリンジはよく目にしていた。良し悪しあるが設計が古いレンズが多く、それらの味を好んで使用していたためだ。Lレンズでも風景撮影などで輝度差が激しい場面に遭遇するとパープルフリンジが少し出現していた。

ノクトン25mmのF値開放は近年稀に見るくらい盛大にパープルフリンジが出ることがある。まるでフィルム時代のオールドレンズでも使用しているかのようにだ。これは明確な欠点だが、デジタルの時代においてはさほど気にする事はない。RAWで撮影してLightroomでフリンジを除去してしまえば良いだけだ。

それが出来なければ少しだけ絞ってやれば良い。具体的にはF2くらいまでちょこっと絞ると、フリンジは殆ど消えて無くなる。ただし、この場合は絞っているので、ノクトンの味でもあるソフトな柔らかい描写が消えてしまうのを忘れずに。

他にも周辺光量落ちもF値開放では見られるが、これもデジタルで補正するか絞れば解消される。デジタル様様。Adobe様様である。

ボケ味が秀逸

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なVoigtländerのNOKTON 25mm 0.95を使い始めて色々わかったことがあったので、今回はその事をつらつらと羅列する。

まずは描写について。トップの画像は開放のF0.95で撮影したものだが、ご覧の通り開放ではソフトな描写。OLYMPUSのPROレンズのように開放からシャープな感じではなく、ピントが来ている部分の線をを描きながらもふんわりと滲むような描写を見せる。ネコヤナギの小さな花に夕暮れの光が当たった柔らかな場面を、雰囲気たっぷりに切り取ってくれた。

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菜の花も開放で撮影。春のあたたかな陽気が今にも伝わってきそうな一枚になったと思う。その場の雰囲気が独特な描写から伝わってくる。逆にいうと撮影者の意図をしっかりと繁栄してくれるレンズと言っても良いだろう。

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春の風に揺られて雄しべにピントがなかなか合わせられないような場面でも、微調整が効くヘリコイドでのマニュアルフォーカスは苦ではない。撮影している時に左手の指に適度に伝わるトルク感が心地良さを感じさせてくれた。中央以外だとやや解像感は落ちるが、そんなことは全く気にならない。背景の桜の花の見事なボケにうっとりする。

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ところが、少し絞れば開放でのソフトな描写から豹変し、クリアで抜けの良いシャープな写りをする。リアルなタンポポの質感が伝わってくるのではないかと思う。上のタンポポの写真はF2に絞って撮影したもの。ピント面はしっかりと線を描いているが、相変わらず背景ボケは溶けるような美しさだ。

被写体にかなり接近できるのでボケを生むのは容易だ。マイクロフォーサーズはフルサイズに比べるとボケにくいが、これだけボケを綺麗に演出できれば大満足。何度見ても美しいボケだ。

レンズによっては馴染みすぎて逆に汚くなったり、ボケがうるさくなったりするものもあるが、ノクトン25mmは私の所有するレンズの中で最高のボケを生むレンズだと思う。撮影する楽しみ。現像する楽しみ。鑑賞する楽しみの全てを満たしてくれる一本だと思う。

ただし解像度はPROレンズが上だ。バランスが良いという点では25mm F1.2PRO方が優れている。ただ、道具として考えた時は質感や満足度という点でノクトンが優と思う。

マイクロフォーサーズマウントを使うなら、一度は手にしたい銘レンズだ。

NOKTON 25mm F0.95

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NOKTON 25mm F0.95が欲しくなり、下調べに下調べを重ね、気づいたらポチっていた私。そして翌日には手元に到着。毎回思うが「あー、買っちゃったよ」ってなるんだな。毎回ね。

さらっとスペックをまとめると、画角は25mmでF値はなんとF0.95と1切りを達成している驚異的な明るさ。人の目より明るいことになる。レンズ構成は8群11枚で超高屈折ガラスを使用。最短撮影距離は撮像素子から17cm、撮影倍率1:3.9と寄れる寄れる。マニュアルフォーカス、マニュアル絞りのみで電子接点は無し。Exifなんか関係ないと言わんばかりの潔さ。シンプルだ。フィルター系は52mm。メーカー希望価格は約10万円。価格はシンプルではない。

ちなみにNOKTON(ノクトン)とはVoigtländer(フォクトレンダー)のレンズの名称で「夜」を意味する。開放F値がF1.5以上に明るいダブルガウス型大口径レンズに用いられる名称だそうな。

私が購入したのはTypeⅡというもので、初代との違いは絞りのクリック機構を無効化しシームレスな絞りの変更ができるだけ。切り替え機構が付いたことで初代より25g重い435gとなっている。あとは初代となんら変わりがないので初代を購入しても良かったが、既に生産終了しており新品で売っていなかったためTypeⅡとなった。

このレンズの特徴は何と言ってもボケ味だろう。解像度を取るのであればOLYMPUSの25mm F1.2 PROを買う方が正解。あれならAFも効くし明るいしボケも綺麗だ。だが、このノクトンのボケ味と明るさはその上を行く。解放でのピントは薄く、解像感が高くないのでややソフトな写りをするが、溶けるようなボケ味がなんとも素晴らしい。

それに、道具としての満足度も高い。触れただけでわかる金属の剛性と質感の高さ。ずっしりと手に感じる重さ。レンズ(ガラス)自体の美しさ。ヘリコイドの重すぎず軽すぎない程よいトルク感。どれをとっても最高。ZEISSプラナー50mmも好きだったが、ノクトン25mmは更に良い。

次回以降は、このレンズの描写や使用感などについて更新してみようと思う。

 

MARUMI EXUS

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MARUMI EXUSを私は愛用している。初めて購入したプロテクターフィルターはKenkoのMCフィルター58mmだった。これは私がデジタル一眼デビューをした最初のカメラであるEOS Kiss x4のダブルズームキット用に購入したものだった。

当時はまだレンズフィルターというものをよくわかっておらず、とりあえず傷や汚れをレンズにつけない為に装着するものといった程度の認識だった。そのため高価なレンズプロテクターを買う意味もわからず、安いやつで良いと思っていた。

プロテクターフィルターに凝り始めたのは、交換レンズの楽しさに気づいた時だった。交換レンズが増えるたびにプロテクターフィルターを何にするか考えていたのを覚えている。よく耳にするのはKenkoのPRO1Dというシリーズだが、汚れが付着した時の落ちにくさが嫌になり、MARUMIのDHGスーパーレンズプロテクトを使うようになった。

このDHGスーパーレンズプロテクトが素晴らしかった。当時の価格は77mmで6000円程と決して安くはなかったが、汚れの落ちやすさや反射の少なさが気に入っていた。あたかもそこに何も無いかのようなクリアなガラスがとても綺麗だったのを覚えている。当時はこのDHGがMARUMIの最高峰だったが、ほどなくしてEXUSというシリーズが販売されるようになった。

このEXUSが現在愛用しているプロテクターフィルターだ。発売当時は77mmで9000円以上していたような記憶があるが、現在は価格もこなれてきて77mmでも6000円以下で購入出来るようになった。

このEXUSがDHGと違う点は、平面度の向上、平面強度の向上、帯電防止加工、超低反射加工(反射率0.3%以下)の4点だ。フィルターに使われるガラスの板厚がアップし、それに伴い平面度と強度が上がった。平面度はレンズの描写に僅かに影響するため平たいほど良いとされる。

帯電防止加工によりゴミ、ホコリがかなり付着しにくくなった。もし付着してもブロワーなどですぐに吹き飛ばせる。反射も更に少なくなり、プロテクターフィルターによる嫌なゴーストや僅かなコントラスト低下が無くなった。DHGに比べ、更に光を透過するようになったので、極々僅かな光量落ちが更に少なくなった。

今はそのEXUSよりも更に性能が上がったEXUS SOLIDという製品がMARUMIの最高峰だ。より低反射となり、反射率は0.2%以下になった。加えて強度も上がり、更に衝撃に強くなった。当然値段もアップしている。ちなみに77mmで13000円。EXUSの倍の価格は流石に高いと感じる。

欲しいレンズの話

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欲しいレンズの話でもしようかと思う。現在所有しているレンズは17mm F1.8、25mm F1.8、60mm F2.8 macro、12-40 F2.8、40-150 F2.8、300mm F4の6本だ。いずれもOLYMPUSのレンズばかりで、ほかのメーカーのM4/3マウント対応レンズは所有していない。

過去にはPanasonicの100-300 F4-5.6 Ⅱを使っていた時もあったが、300mm F4を購入してからは全く使わなくなったので売却した。OLYMPUSの45mm F1.8も子供を撮影するのに良いと思い購入したものの、一度も使うことなく売却。

EOSマウントを使っていた時はMAXで10本ほどレンズを持っていたが、最近は被写体が決まっているので本数は多くはなくなった。なんなら12-40mm F2.8も殆ど使っていないのだが、このレンズは描写も良く気に入っており、オールラウンダーなので今は売却するつもりはない。

今一番気になっているレンズはフォクトレンダーのノクトン25mm F.095だ。25mmという焦点距離OLYMPUSの25mm F1.8と被るのだが、ノクトンのF0.95という驚異的な明るさと、そこから生まれるボケがなんとも魅力的なのだ。

M4/3にボケ量を求めてはいない。ノクトンに求めているのはボケの味だ。まるで水彩画の如く滲むボケが素晴らしい。F値解放ではソフトな描写で芯があるかないかのギリギリだが、少し絞ればキリッと被写体の線を描き出す。この二面性も魅力の1つ。

マニュアルフォーカスのみのレンズなので、素早く軽快にスナップは難しいが、ねっとりとしたヘリコイドの感触がこれまた良い。金属の鏡筒の剛性の高さ、質感も魅力的だと感じる。AFが使えないので動く被写体を追うことは至難の技だが、寝ている子供や何かに集中している子供を撮る程度なら容易だと思う。

最短撮影距離は0.17mとかなり寄れるので、画角は広くはないがテーブルフォトやブツ撮りにも使えるだろう。(多分私は撮らないが)

調べれば調べるほど欲しくなる一本だ。