レンズとボディと私。

野鳥撮影から、いつの間にかアウトドアに魅了されたのだ。

鳥を撮らずに

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鳥を撮らずに虫を撮影している時もある。生物写真を専門に撮るようにしているので鳥に限る理由もないが、撮影の対象は殆どの場面で野鳥だ。久しぶりに野鳥を撮影しにいつものE-M1Ⅱと300mmF4のセットを持って家を出た。

撮影場所は山の中。府に管理された杉が立ち並ぶ場所だ。そこには渓流があり、水が流れる心地よい音が絶えず耳に届く。透明度の高い水が流れる様を見ているだけでも、なんとなく心が洗われるような安心感を得る。これは本能的な物らしい。キラキラした宝石や光り物を人間が好むのは、それが生きるのに欠かせない水を連想させるからなんだとか。

しばらく歩いていると、鳥の囀りが辺りに響く。キビタキだろうか。姿こそ見えないが近くにはいるようであった。鳥を探すときは囀りが手がかりとなるが、渓流の音がそれを邪魔する。ポイントを絞れないために目を凝らす範囲が多く、探すのが難しかった。

結局、野鳥を見つけることは出来ず。良い日もあればそうでない日もあるのも野鳥撮影の楽しみ。ふと目の前を通る一匹のトンボを追うことにシフトし、しばらく夢中でシャッターを切った。

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M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4 IS PROの描写は本当に素晴らしい。上の写真は拡大トリミングしたもの。トンボの体に無数にある細かな毛や複眼の立体感、七色に輝く体の色彩美を余すことなく描き出す。OLYMPUSのゼロコーティングのお陰か透明感も高い。もう少し絞ればもっと解像しただろう。

写真を撮っている時は無心になれる。魅力を感じた被写体にレンズを向け、ひたすらにシャッターを切る。E-M1Ⅱの操作も慣れたもので、やっと手に馴染んで感覚的に扱えるようになった。EOSを使っていた時もそうだったが、感覚的に扱えるようになるまではやや時間がかかる。

この日は下山時に乾いた木を拾い、ナイフでバトンして作った薪を燃やして川の水を沸かし、ラーメンを食べてから帰路についた。大したことはしていないが、山の空気やせせらぎの音、トンボの色彩美に癒された半日だった。

帰ってからはクッカーを洗い、石に当ててチップさせてしまったナイフを研いでゆっくりと過ごした。ナイフとの対話も楽しみの1つ。

山にカメラを持って入る度に思うが、M4/3は本当にシステム全体が軽く疲労感を感じさせない。山を楽しめる超望遠だ。