レンズとボディと私。

野鳥撮影から、いつの間にかアウトドアに魅了されたのだ。

ハンモックで森林浴

田舎者の遊び場と言えば、基本的には自然界にしかない。私はど田舎の出身なので、近くにデパートもなければテーマパークもない。シンプルな遊具が並ぶ小さな公園、水田の側を流れる小さな川、荒波の日本海、木々が生茂る山々が私の遊び場であり、中でも特によく遊んだのは山だった。

今では都会の喧騒の中に身を置く生活となり、周りを囲むのは灰色のコンクリート、黒いアスファルト、そして夥しい数の人々。進学してきたころは輝かしく見えた場所も、今の私にはすっかり霞んで見える。

 

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山の匂いは何処もそう変わらない。土や木々が放つ独特の匂いは、私に懐かしさと落ち着きを感じさせてくれる。樹木が発散するファトンチッドという化学物質の匂いだろうか。よくわからないがリラックス出来るのだ。

そのリラックス効果を高めてくれるのが、いつだかにレビューしたTHERMARESTのスラッカーハンモックハウスだ。

 

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森林浴に必要な荷物は、ハンモック一式とバーナー、水と食料、マグカップ、ナイフ、タオル、フィールドホッパー(簡易テーブル)だ。これをカリマーの25Lのザックに突っ込んで、最適な場所を気分で探す。スラッカーハンモックは本当に簡単に、スピーディな設営が出来る。生地の質感も良く、丈夫で信頼できる素晴らしいハンモックだ。

 

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ウインドバーナーはガスを浪費せず、本当に早くお湯を沸かせられる。これ一つ持ち出せば良いのが便利。余談だが、初めて食べたカレーメシは意外にも美味しかった。私としてはこれは中辛ではなく完全な甘口なので、辛口もラインナップに加わってくれると嬉しい。

 

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ご飯を食べる時は椅子としてハンモックを使い、食べ終われば寝転がって木漏れ日に照らされながら、ただ空を眺める。「ここは広葉樹が多いなあ、あの木はこないだの台風で倒れたのだろうか」などと物思いにふけながらボーッとする。フレッシュな空気を肺一杯に吸って、気が向いたら読書をする。ある程度読み進めたら散歩。

自分が田舎者という事もあるだろうが、やはり自然の中は落ち着く。生命力に溢れた場所で喧騒から遮断されて過ごす時間は、大人になって時間やルールに支配され、忘却した何かを思い出させてくれる。

 

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子供と山に行くと特に感じるのが、私自身の遊び心の変化と減少だ。木の枝を拾って振り回したり、石を川に投げたり、そういったことを楽しそうにする子供を見ると、どこか懐かしく、少し虚しくもなる。私もそういった事に楽しさを感じる時期はあったが、年齢と共に重ねた経験が少しずつ純粋な遊び心を消している気がする。

幼い頃は何でも経験して早く大人になりたいと思ったものだが、いざ大人になってみると、時間と共に大切な物を置きながら歩いて来たことに気が付く。

 

 

 

 

続 MSR WINDBURNER STOVE

 

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今回はMSR WINDBURNER STOVE(エムエスアール ウインドバーナー ストーブ)のレビュー続編だ。

このウインドバーナーは機能こそジェットボイルと同等だ。水を一早く沸騰させることに特化したストーブシステムなのだが、ある部分においては他のメーカーに比べ圧倒的な性能差を持つ。そのある部分とはズバリ「耐風性能」だ。

ジェットボイルの湯沸は確かに爆速なのだが、使用環境がいつも無風とは限らない。自然界では四方から風が強弱をつけて吹く事が多い。そのような環境下では火が安定しない上、熱が逃げてしまうためになかなか沸騰させられないのがジェットボイルの弱点で、風防を使うなどの対策を強いられる事がある。

しかし、ウインドバーナーは強風が吹く環境下でも確実に水を沸騰させてくれる。秘密はバーナー部分と、熱を吸収するリアクター部分にある。

 

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タービンのように配置されたリアクターの1つ1つが熱を吸収するだけでなく、排気のコントロールを担っている。ガスの燃焼によって得た熱はリアクターに吸収され、さらに排気口に届くまでのクッカーの底全体を温める。

なんとなくだが、こういう機能美的な造形は非常に男心を擽るものがある。

 

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側面に空いた平行四辺形の穴が排気口だ。バーナーの熱はここから排出される。ガスはミックスシリンダー(空気とガスを混ぜる部品)を通りバーナー部まで運ばれ、そこで燃焼、熱エネルギーをクッカー底が高面積で受け止め、側面から排出される。つまりは燃焼を邪魔したり、熱効率を下げる自然風が入る隙間が無いのだ。

 

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燃焼によって発生した熱の流れを書くと上のような画像の通りとなる。オレンジ色がバーナー面で、赤色の矢印が熱をイメージしている。ちなみに実際のバーナー部分はこんな感じ。

 

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金属のメッシュが幾重にも重なっている。中には特殊な触媒が入っているらしいが、分解できないので実際にお見せすることはできない。

高面積のメッシュによって発生する多量の遠赤外線によってお湯を沸かすので、効率が良く風に強いのだろう。

 

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燃焼直後は一本の細いワイヤーが発光する。これが着火した事を示してくれるので、わかりやすくて良い。着火はマッチかライターが推奨されている。おそらくだが圧電着火式のイグナイターやメタルマッチでは着火しないだろう。マッチ数本と刷り紙を小さなチャック付き袋に入れておけば安心だ。

ちなみに500mlのお湯を沸かすのにかかった時間は2分だった。ティファールよりは早いが、早さだけならジェットボイルが勝るか?

 

 

MSR WINDBURNER STOVE

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MSR(エムエスアール)のウインドバーナーを手に入れた。有名なジェットボイルが販売している高速湯沸器のMSRバージョンといったところか。 ジェットボイルはモンベルが代理店をしているので国内での入手は容易だが、MSRのガス機器は日本のガス検査協会の基準をクリア出来ないので日本では正式販売されていない。ガス検を通ってないから危ないと言う物ではなく、普通のガス機器と同じように使える。日本の基準は極めて厳しく、あのSOTOでもよく発売を延期する事があるほどで、アウトドア用品がクリア出来ないことは往々にしてある。

 

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セット内容はこんな感じ。クッカー、バーナー、フタ、計量カップ、缶スタビライザー、クロスの合計6点だ。ガス缶は付属していないが、容量110g前後のガス缶がピッタリ収納できる。つまり水を沸かすのに必要な全てが1つにまとまるのだ。

 

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スタビライザーはこんな感じ。110g缶と250g缶に対応している。プラスチック樹脂で出来ているため非常に軽量。場所によっては必要な場面もあるだろう。

 

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バーナーはわりとズッシリした重みがある。ハンドルが綺麗に収納できるようになっているのが良い。説明書によると、この部分にサーマルトリップ機構が入っている。サーマルトリップとは加熱し過ぎた場合に自動で消化するシステムだ。おそらくはクッカーの変形やガス缶の破裂を防止する為の機構だろう。何気にハイテクだ。

 

 

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クッカー本体の内側とカップの両方に目盛りが付いている。必要な量だけの水を計って入れられるため、無駄にガスを使わなくて済む。

 

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蓋は蒸気口と注ぎ口がある。半透明なので沸騰具合がわかりやすい。注ぎ口は水を線状に出すことができるため、ドリップコーヒーを入れる時なんかに便利。

 

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カバーとクッカーは簡単に分離でき、掃除も楽そうだ。

 

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ガス缶を入れて全てを収納すると、気持ち良いくらい綺麗に収まる。この状態で約600gほどだ。正直、PRIMUSのクッカーとSOTOのウインドマスター 、110gガスを組み合わせた時の方が軽いが、燃費や機能を考えると納得できる重量増ではある。

次回以降は機能や使用感などのレビューを記載していく。

 

THERMAREST スラッカーハンモックハウス

キャンプでは基本的にテント泊だ。タープ泊もすることはあるが、基本はテント泊だ。あの地べたに寝る感じが、なんとも安定感があって好きなのだ。

しかし、テント泊が必ずしも快適ではない時がある。今の時期みたいな暑い日が続くと、テントの中は蒸し風呂状態。どれだけベンチレーションを活用したとしても熱中症になるリスクが高い。流石に快適とは言い難い。そんな時でも涼しく快適に過ごせるのがハンモックだ。

というわけで、THERMAREST(サーマレスト)のスラッカーハンモックハウスのレビュー。これのレビューが見つからないので、多分私が初めてだと思う。

 

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スラッカーハンモックという名前に「ハウス」が続くこの製品の特徴は、ズバリ全てが1つに揃っている点だ。ハンモックとタープ、それらの設営に必要なストラップとペグ、ガイロープなど、ハンモック泊に必要な全てが揃っている。だからこそ「ハウス」なのだ。ちなみに収納サイズは36×19cmで、重量は約1900gだ。

メーカー希望価格は30,000円+税とそれなりの価格だが、Amazonを覗いていると急に51%オフになっていたので即注文した。

 

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設営は他のメーカーのハンモックと同じなので、説明書を見る必要はない。ツリーストラップを木に設置し、更に蚊帳を引っ張るストラップを設置するだけだ。簡単に蚊帳付きハンモックの設営が完了する。

ストラップは長さ調整がワンタッチで、いちいち結び直したりする必要はなく、スピーディに設営ができる。

 

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この状態で寝転がると、そこから見える景色は最高。正しく自然に包み込まれている感覚だ。ゆらゆら揺れながら、鳥のさえずりが響く山中でリラックスできる。暑い夏でも木陰で涼みながら読書をしたり、転寝したり、素晴らしく贅沢な時間だ。

 

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タープの設営も極めて簡単。蚊帳用ストラップに黄色い輪っかが付いているので、タープに設置されたフックを輪っかに引っ掛けるだけで済む。ややこしいロープを張る作業は皆無だ。付属のペグを地面に刺して、ガイロープでタープを張れば、あっという間にタープ泊が出来る状態になる。

 

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当たり前だが専用品なのでぴったりサイズ。タープの色がグレーホワイトなので自然界では目立つが、ハンモック内が暗くならないのでこれはこれで良い。タープ内部には便利なランタンフックが備え付けてある。

今回は試し張りなのであまりゆっくり出来なかったが、ファーストインプレッションはすこぶる良好。良い買い物をしたなあ、なんて思いながら片付けをした。

片付けも簡単で、撮影の逆をするだけ。全てがワンバックに収まるのが気持ち良い。

 

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THERMARESTはハンモックの分野では新興の部類だが、質感といい、デザインコンセプトといい、実によく出来たハンモックだ。

 

 

 

 

 

 

EXOTAC nano SPARK

EXOTAC(エクソタック)とはジョージア州アトランタ郊外にある会社。あらゆる状況下でも必須となる「着火」をテーマとして、ファイヤースターターとその関連機器を製造、販売している。日本での代理店はUPIだ。

 

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そのエクソタックが販売しているnano spark(ナノスパーク)という商品を購入した。非常にコンパクトなファイヤースターターで、大きさは6.9cm、重さは僅か17gだ。ライターに良く似た形だが、あくまでフリント式のファイヤースターターだ。麻や綿、フェザースティックなどの着火や、バーナーなどのガス機器の着火に使用するアイテム。100円ライターの方が便利かもしれないが、こういう機能が少ないアイテムも男心をくすぐる。100円ライターでは火をつける楽しみが無い。

 

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本体は筒状になっており、中に付属の着火剤が収納できる。もちろん防水仕様。フリントストーンの交換も内部から行う。予備のフリントストーンを入れることもできるし、工夫すれば着火剤以外の物も収納可能だ。

ライターのように火を灯し続けることはできないが、着火剤や燃えやすいティッシュなどを使用すれば簡単に火を起こせる。火花が割と大きいので、バーナーの着火も容易だ。最近のバーナーには圧電着火装置が付いている物が多いが、圧電着火装置はトラブルがつきものだし、環境によっては着火が出来ないこともある。その点ではアナログなフリント式の方が頼りになる。私が愛用しているSOTOのストームブレイカー は着火装置がないので、ナノスパークのようなストライカーは役に立つ。

 

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確実な着火のみに機能を絞った潔さと、アルミ削り出しのスマートなデザインが所有欲を満たす良品だ。