レンズとボディと私。

野鳥撮影から、いつの間にかアウトドアに魅了されたのだ。

CASIOの撤退

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CASIOの撤退から色々と考える。コンパクトデジタルカメラはその市場をどんどん縮小している。CASIOがコンデジ事業の撤退をするという話は今年に入ってから何度か目にしていたが、先週にCASIOからの公式発表があった。新たに高級コンデジを開発して販売するかもしれないというファンの希望は見事に消え、噂通りの展開を迎えた。

正直、何となく寂しい気持ちになった。カメラ業界の縮小という事実と、ハイスピードエクシリムなどの名機を生み出したメーカーがそれらを捨てる決断をしたことに対してだ。小さくはあるが、心にぽっかりと穴が空いたような気分だ。

コンデジ(レンズ一体型カメラ)の販売台数は年々減少しつつある。レンズ一体型カメラは10年前の2008年には年間生産台数が1億以上あったのに対し、ある物が普及しだした2012年前後には8000万台になった。そして2017年には1400万台とその生産台数を大きく減らしている。

CIPAの発表している数値だけを見て物事を判断する事は難しいが、確実に言えるのはピーク時に比べてレンズ一体型カメラの市場はかなり縮小しているという事だ。

要因を考えてみる。1つめの要因は、デジタルカメラが一定数普及したことにあるだろう。デジカメを毎年買い換えるユーザーは少ない。よほど最新のカメラ好きならまだしも、殆どのユーザーがカメラが壊れない限りは使い続けているだろう。一定数普及しきった今、買い替えスパンの長いカメラという家電の年間販売台数は限られるはずだ。

2つめの要因は、ある物の急速な普及と技術的向上にある。そのある物とはスマートフォンだ。日本では2012年ごろから市場が活発化したと記憶している。新しいもの好きの私も当時すぐにスマホに買い替えた。スマホデジタルカメラだけでなく、パソコンなどの市場を食い物にした。カメラとしての機能でいうと、スマホのカメラはそう高性能なものではないが、記録用としては十分だった。デジカメに変わるツールになり出したのだ。

3つめの要因は、他のデジタルガジェットとの差別化が上手く図られなかったことにある。スマホよりも高画質という点で勝ることは確かであったが、それの必要性を感じさせることが難しかったのだろう。各カメラメーカーは新たな市場開拓に苦戦を強いられたはずだ。

SONYは高級コンデジ市場を開拓し、Canonはそれに便乗、各社センサーサイズの大型化で高画質化を図ったコンデジを次々に販売。CASIOはその波に乗れずか乗らずか、上手く活路を見出せず苦渋の決断に至ったという事だろう。色々と意欲作を出してはいたが...。