レンズとボディと私。

野鳥撮影から、いつの間にかアウトドアに魅了されたのだ。

キセキレイ

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キセキレイとは、スズメ目セキレイ科に属する鳥類の一種。体長20cmほどで、ハクセキレイと同じか若干細めの体つきをしている。下腹部が黄色い羽毛に覆われているため、他種との見分けが容易にできる。主に渓流などの水辺に生息している鳥だ。

そんなキセキレイがつい最近まで家の周りによく出没していた。短く高い声で鳴くため、近くにいることが容易にわかる。体調もそこそこ大きいため、視認も容易。お腹が黄色いので鳥に疎い嫁さんでも「なんか変わった鳥がいる」と言うほど、簡単に他の鳥との見分けがきく。

ある日、朝から雌雄のキセキレイが家の周りを行ったり来たりし、けたたましく鳴いていた。なんだか騒がしいなと思っていたが、暫くしたら鳴き止むだろうと思いゆっくりしていた。しかし、一向に鳴き止む気配がない。

流石におかしいなと思い観察していると、何やら餌を加えて飛び回っている。だが、あまりにも騒がしい様子から考えるに単なる雛への給餌というわけではなさそうだ。カメラを構え観察を続けること1時間、嫁さんが来てこう言った。「玄関に雛鳥がいる」

そんな訳はないだろうと半信半疑で玄関に行くと、たしかに目の前にちょこんと小さな雛鳥がいた。巣から落ちたのだろうか、それともたまたま今日が巣立ちなのだろうか、様々な考えが頭をめぐる。

気になって調べて見るとキセキレイは人家の軒先などで営巣し5つほど卵を産むそうで、そのうち全ての雛が巣立つケースは稀らしい。今回は巣を発見できなかったが、恐らくは1羽しか巣立つことが出来なかったのだろう。私はたまたまその一羽の巣立ちに遭遇したようだ。

近所には野良猫がいるので、猫に捕食されないか心配したが、次の日にはキセキレイの鳴き声は聞こえず。察するに雛は無事に巣立ち、自由に飛ぶことができるようになったのだろう。もし捕食されていれば、親鳥が探し続けているはずだ。

あのけたたましい鳴き声は、雛を心配し「がんばれ、がんばれ」とエールを送る親の気持ちそのものだったのだろうと思うと、なんだか微笑ましく感じる。子を応援する気持ちは、親になれば全ての動物に共通するものなのかもしれない。

今日も幼鳥は立派に羽を広げ、この暑い中でも空を自由に飛び回っていることだろう。

お気に入りのランタン

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お気に入りのランタンについて書く。ランタンは現在3つ所有している。LEDランタンが2つ、ガスランタンが2つ。メインはもちろんガスランタンで、SOTOのST-233を愛用している。LEDランタンも昔に比べればかなり安価で明るい物が増えたが、やはりメインはガス。ガスの方が圧倒的に明るい。まあ、近い将来LEDがガスより明るくなる日が来るだろうが。

ST233はCB缶(カセットガス)を燃料とするランタンで、最大輝度は660LXだ。ガス欠まで3〜4時間ほどは明かりをもたらしてくれる。

CB缶のメリットは何と言っても価格の安さと入手のしやすさだ。OD(アウトドア)缶に比べるとブタンを配合するものが圧倒的に多く寒い環境には不向きではあるが、使う場所さえ間違えなければ問題ない。低温に弱いブタン以外にもイソブタンやプロパンなど気温が低くても気化できるガスを配合した物もある。要は環境によって使い分けることが必要ということ。

ST233の魅力はそれだけではない。「虫の寄りにくいランタン」という肩書きの通り、ランタンを点けていても虫が寄りにくいよう光の波長を変えられる着色されたグローブやリフレクターが付属している。これを使うと光がオレンジっぽくなり若干光量が落ちてしまうが、虫がわんさか寄ってきてランタンが使えなくなるよりはマシだ。

他にも、グローブが本体に収納される仕組みになっているため、持ち運びに神経をあまり使わなくて良いというのも魅力だ。とはいうもののちゃっかりソフトケースを購入したが。(笑)

燃えることで光を発するマントルが安いのも魅力。3枚入りで700〜800円と良心的価格。丁寧に扱えば長持ちするのでしょっちゅう変える事はないが、呼びが安く手に入るのは嬉しい。

もう一つ魅力を書くと、使用中に気化熱でCB缶が冷えて圧が下がるドロップダウンという現象を防ぐ機構も備わっている。これがもう一つのモデルであるST-213との最大の違い。ガスが無くなるまで安定した光量が得られるのだ。

と、かなりお気に入りでもう一つ欲しいと思うほどだ。だが、ガスランタンで問題になるのが熱。燃焼し続けるために本体が熱くなり、収納できる温度になるまで冷やす必要がある。利便性ではやはりLEDが一番となる。故に両刀使いとなってしまったのだが...。

夜想曲

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夜想曲(ノクターン)をご存知でない方はいないのではないだろうか。フレデリック・ショパンが20歳から晩年に至るまで創作した全21曲の楽曲である。私はクラシックやジャズを好んで聴くが、実はあまり詳しいほうではなく、上記のショパンの情報はGoogle先生に教えて頂いたものだ。

ノクターンという名を付けられたガスランタンがスノーピークから販売されている。ランタンといえど何かを強い光で照らす能力は無く、写真のようにまるでライターの火のような小さな火がほんのりと周囲を照らす。

ランタンとしての能力は微妙だが、雰囲気作りとしては抜群。洒落ていて良い。本体のデザインもコールマンのルミエールランタンのようにアンティーク調でないため、どんなシーンにでも合いやすいだろう。

巷ではガス缶用のカバーなるものが販売されており、洒落っ気のない缶の様々な注意書きやメーカーロゴを隠す人もいるが、私はあえてそのような物を使わず、ガス缶のガチャガチャした表記ですらノクターンが盛り上げてくれると感じている。

ガスの消費量は1時間で7gなので、110gのガス缶なら約15時間強、250gのガス缶なら35時間強使用することが出来る。そこそこ経済的と言えるのではないだろうか。CB缶からOD缶にガスを充填すれば、更にコストを抑えて楽しむことができるだろう。

これにBluetoothスピーカーなどでクラシックやジャズ音源を流してやれば、最高に楽しい。椅子にドシッと腰をかけ、机に置かれたノクターンの火を見ながら冷たい飲み物を口にする。微かな明るさが齎す贅沢を感じる時間だ。

火の揺らぎは「1/fゆらぎ」と呼ばれており、自然界に存在する小鳥の囀りや水が流れる音などもそれと同じ。これらには人の心を癒す効果があるそうな。

ちなみに、本当か否かはわからないが火を燃やすことは空間にある悪い気を燃やしてくれるらしい。儀式的な行事に火がよく使われるのはそういう理由だからなんだとか。加えて、臭いの元になる微粒子も燃やしてくれるため、消臭効果も期待できるらしい。

なんとも怪しい話ではあるが、火には人間の本能を刺激する「何か」があるということを、日々ノクターンを眺める中で私自身が感じているのは確かだ。

400mm F4

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400mm F4という超望遠単焦点の特許がOLYMPUSから出願されたというネット記事を目にした。これは恐らくProシリーズの超望遠となり、35mm換算で800mmをカバーする。1.4倍のテレコンを噛ませれば35mm換算1120mmでF5.6の超超望遠となるだろう。

光学性能は300mm F4を凌ぐ物になるだろうが、そのぶん鏡筒は太く大きく、重くなるだろう。三脚座を含めての重量は1.8キロ〜2キロといったところだろうか。それでも35mmフルサイズの同焦点距離のレンズと比べると小型軽量だろう。まあ、M4/3なんだから当たり前なんだけどね。

前玉のレンズ口径は300mm F4よりも大きく82mmになる。ちなみに根拠はなく単なる当てずっぽう。82mmでF4ということは全長は30cmほどになるだろうか。格納式レンズフードを伸ばせばおそらく全長は40cmに迫る。文字通りバズーカである。

発表、発売は恐らく東京オリンピック開催までに行われるだろう。それに合わせてE-M1 Mark3も発売されるだろう。400mm F4は市場価格35万前後となり、ボディとセットで55万ほど。そうであって欲しいという私の願望が入った勝手な価格設定。35万ならすぐにでも購入したい。

発表、発売は2019年の秋〜冬。キャッシュバックキャンペーンも合わせてボーナス商戦を狙って来るのではないかと思う。我が家の財務大臣にバレずに密輸出来る価格であって欲しい。

ヨドバシカメラに連れて行かない日が訪れそうである。

鳥を撮らずに

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鳥を撮らずに虫を撮影している時もある。生物写真を専門に撮るようにしているので鳥に限る理由もないが、撮影の対象は殆どの場面で野鳥だ。久しぶりに野鳥を撮影しにいつものE-M1Ⅱと300mmF4のセットを持って家を出た。

撮影場所は山の中。府に管理された杉が立ち並ぶ場所だ。そこには渓流があり、水が流れる心地よい音が絶えず耳に届く。透明度の高い水が流れる様を見ているだけでも、なんとなく心が洗われるような安心感を得る。これは本能的な物らしい。キラキラした宝石や光り物を人間が好むのは、それが生きるのに欠かせない水を連想させるからなんだとか。

しばらく歩いていると、鳥の囀りが辺りに響く。キビタキだろうか。姿こそ見えないが近くにはいるようであった。鳥を探すときは囀りが手がかりとなるが、渓流の音がそれを邪魔する。ポイントを絞れないために目を凝らす範囲が多く、探すのが難しかった。

結局、野鳥を見つけることは出来ず。良い日もあればそうでない日もあるのも野鳥撮影の楽しみ。ふと目の前を通る一匹のトンボを追うことにシフトし、しばらく夢中でシャッターを切った。

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M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4 IS PROの描写は本当に素晴らしい。上の写真は拡大トリミングしたもの。トンボの体に無数にある細かな毛や複眼の立体感、七色に輝く体の色彩美を余すことなく描き出す。OLYMPUSのゼロコーティングのお陰か透明感も高い。もう少し絞ればもっと解像しただろう。

写真を撮っている時は無心になれる。魅力を感じた被写体にレンズを向け、ひたすらにシャッターを切る。E-M1Ⅱの操作も慣れたもので、やっと手に馴染んで感覚的に扱えるようになった。EOSを使っていた時もそうだったが、感覚的に扱えるようになるまではやや時間がかかる。

この日は下山時に乾いた木を拾い、ナイフでバトンして作った薪を燃やして川の水を沸かし、ラーメンを食べてから帰路についた。大したことはしていないが、山の空気やせせらぎの音、トンボの色彩美に癒された半日だった。

帰ってからはクッカーを洗い、石に当ててチップさせてしまったナイフを研いでゆっくりと過ごした。ナイフとの対話も楽しみの1つ。

山にカメラを持って入る度に思うが、M4/3は本当にシステム全体が軽く疲労感を感じさせない。山を楽しめる超望遠だ。